THE MAXナビゲーターブログ:2017-9-28

7-05

ボクのお父さんは近所の娘から
「調子乗りのおっちゃん」と呼ばれている。

親父は出勤時に
登校中の児童にむかっておどけてみせる。
それが子供達のツボにはまるらしく、
みんな笑い転げるのだ。

オレは、お子様の頃
恥ずかしくて仕方なかった。

ある日、道の角を曲がると
「ぐわあぁぁ」と叫びながら
倒れる父親と目が合った。

パパの目からは切羽詰った様子が伺え、
おいらはうろたえた。

しかしふと前を見ると
戦隊もののおもちゃを手にした子供たちがいる。
お父さんは戦隊ごっこの悪役をしていたのだ。

父の切羽詰った様子は、
いるはずのない娘と目が合ったこと、
しかしクライマックスの悪役が倒れるシーンを
全うしなければいけないという責任感の挟間から生まれたようだ。

ミーが大人になっても
父は喜々として近所のお子様と遊んでいた。

オレはパパの行動を諦めていたが、
やめて欲しい気持ちはおさまらなかった。

そんなパパが癌の告知を受けた。
本人は手術を拒んだが、幸い転移もなかったので
癌を摘出すれば短期間で治療可能、再発も無いとのことだった。

家族全員で摘出を勧め、
親父は文字通り泣く泣く承諾した。
陽気な父親が泣くのを見たのは初めてだった。

手術の日、わたしは施術後に立ち会えた。
運ばれてきた親父は薄く麻酔が効き、目は半開き…
その父の前で主治医から成功した旨が伝えられた。

ふとパパに目をやると、信じられない光景があった。
麻酔で眠っているはずのお父さんの手がいつの間にか布から出て、
ピースサインになっていたのだ。
その場は笑いに包まれた。

お父さんはいつでもどこでも
「調子乗りのおっちゃん」だった。

意識がほぼ無かろうが、
家族に大丈夫だと伝えようとして動いた手…
その温かさに笑っていたボクの目から涙がこぼれた。

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